今日は北九州市を走る私鉄「筑豊電気鉄道」をご紹介します。
筑豊電鉄は西日本鉄道(西鉄)の子会社で、かつては西鉄北九州線と相互乗り入れしていましたが、北九州線が廃止されてからは黒崎駅前-熊西間だけが西鉄の路線として残り、筑豊電鉄は第二種鉄道事業者として同区間を運転しています。
北九州市八幡西区の黒崎駅前から中間市、再び北九州市八幡西区を通り、直方市の筑豊直方までの16キロを運転しています。
西鉄北九州線と相互乗り入れをしていた関係から全線専用軌道(標準軌)・複線電化(直流600V)にも関わらず路面電車タイプの車両です。2両または3両の連節車で自社保有のほか西鉄からの譲渡車両もあります。全車両が吊り掛け駆動で電車保有の鉄道事業者でカルダン方式を1両も保有していないのは筑豊電鉄だけなんだそうです。
直流1500Vに昇圧して路盤を強化すれば複線自動閉塞なので本当に高速電車を走らせることは可能なんですが、現状では可能性はありませんね。
ちなみに特急電車も走る最高速度110km/hの西鉄天神大牟田線でも単線区間があります。
かつては筑豊直方から福岡へ至る高速鉄道の計画もあったようですが、炭鉱の衰退とともに夢と消え、路線免許も昭和46年に失効させています。その名残なのか、筑豊直方駅は高架行き止まりの線なのですが、さらに延伸できるような構造になっています。
筑豊直方駅とJR直方駅はかなり離れていますが、西鉄バスが頻繁に走っていますので連絡には苦労しないようです。
筑豊電鉄にはワンマンカーはありません。全電車に車掌が乗務しています。が、車掌は運転席以外のドア扱いと両替業務のみを取り扱い、乗車券はありませんし、発売もしません。駅(地元では電停と言いますが)間では車掌が回ってきて両替をしてくれます。定期券・回数券以外での運賃は現金払いが基本です。したがって車掌室はありません。一番後ろのドア付近に車掌が立つスペースがあるだけです。
運転士は運転席横のドア扱いと運賃収受をする路面電車スタイルです。
放送はマイクでもしますが、ビデオモニターが載せてありそこに女性が登場して次の駅を案内します。それ以外は広告が流れたりします。
駅は全駅駅員無配置で、いくつかの駅には売店があり定期券や回数券を発売していますが、乗車券は企画乗車券を除きありませんので発売しません。ホームにある整理券発行機から整理券を取って降車の際に運賃を支払います。
やはり経営は厳しいようで、沿線に高校がいくつかあるので定期利用客も多いのですがそれでも厳しいようです。隣の駅まで100円で乗れる回数券「100円きっぷ」や沿線タクシー会社と提携してタクシーと電車を組み合わせた「ちくタクきっぷ」を発売したり、親会社の西鉄と共同で福岡までの高速バスと組み合わせた「ちくバス天神きっぷ」等を発売していますが…。
なお、JR筑豊本線とは経路が違いますのでさほど競合しませんがむしろ西鉄バスの方が脅威ではないでしょうか。
写真は本日撮影した筑豊直方-感田間の遠賀川を渡る筑豊電鉄3両連節車です。
下り筑豊直方行 2000形2006(元北九州線1000形)撮影データ f/3.5 1/154秒 ISO-64 焦点距離8mm パターン測光 35mm換算45mm
上り黒崎駅前行 2000形2006(元北九州線1000形)
撮影データ f/5.6 1/120秒 ISO-94 焦点距離68mm スポット測光 35mm換算408mm デジタルズーム4倍
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