電車の先頭に乗っていると運転士が駅を発車するときに「出発進行!」と声を出して信号機を確認している光景を見ることができます。
こどもが電車ごっこをする時も運転士は「出発進行!」です。^^
では、この「出発進行!」にはどんな意味があるのでしょうか?
「発車するから出発進行に決まっているではないか!」と言われそうですが、そうでもありません。
「出発進行!」は「出発信号機が進行を現示している」という意味です。
もし、出発信号機が黄色(橙黄色)1灯だったら「注意」ですので「出発注意!」となります。
出発信号機は駅(法律では停車場と言います)を出発することが出来るか出来ないかを示す信号機です。
また、駅に進入出来るか出来ないかを示す信号機を場内信号機と言います。
場内信号機が進行現示の時は「場内進行!」ですね。
大きな駅で場内信号がいくつもある場合は「第1場内進行!」の例によります。
出発信号機と場内信号機は、単純な配線の駅にはないこともあります。
これら2つの信号機は絶対信号機と言い、どんな状況であっても従わなくてはいけません。
現在では多くの信号やポイントの切り替えはCTCセンターで集中制御されますが、以前は各駅の駅長の権限で信号操作(これを駅てこ扱いと言います)をしていました。
そのため、場内信号機や出発信号機は当該駅長の絶対的な指示・命令であるとも考えられます。
余談ですが、CTC(列車集中制御装置)が普及したために駅でのてこ扱いの必要がなくなり駅の無人化がすすんでいったとも言えます。
駅以外の区間は閉塞と言って信号機でいくつかの閉塞区間(防護区間と言います)に区切っています。1つの閉塞区間には1つの列車しか進入できません。従って閉塞信号機が赤灯つまり「停止」を現示している場合は、その信号機の先(内方と言います)の閉塞区間に列車がいることを示します。駅間に閉塞区間は複数ある場合が多いので、第3閉塞信号機が青灯つまり「進行」現示の時は「第3閉塞進行!」と換呼します。
JRの5灯式信号機の場合、緑1灯が「進行」、緑1灯と燈黄1灯が「減速」、燈黄1灯が「注意」、燈黄2灯が「警戒」、赤1灯が「停止」です。
なお、北越急行ほくほく線は時速160キロ運転をしていますが、この場合は青2灯現示で「高速進行」という意味になります。
新幹線の本線上はいわゆる「信号機」は存在しません。高速で運転するため運転士が信号機を視認できないからです。詳しくは別の機会に譲りますが、新幹線の信号機は運転台にあります。色で表示するのではなく、現時点で出すことができる最高速度が運転台に表示されます。このような方式をATC(自動列車制御装置)と言います。
話が出発進行からそれましたが、「出発進行!」は出発信号機が進行現示であるという意味ですので、通過駅であっても出発信号機が進行現示であれば「出発進行!」と換呼します。
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