週刊ダイヤモンドにステマの特集記事がありました。
詳細は立ち読みでもしてください。
メディアの奥深い構造や商習慣まで知らないですが、ガジェ通デスクがブログに所見を書いているので、そちらも合わせてお読みいただければわかるかもしれません。
『週刊ダイヤモンド』ステマ特集について思うこと要するにこの特集記事で問題にしているのは、PR会社から金をもらって広告とは表示せずに記事にすることです。(便宜上狭義のステマとします)
PRという手法はCMや広告とは違い、メディアの判断で記事として取り上げ、その判断を記事で示してもらうことです。
CMや広告は広告主がメディアに広告料を支払って広告主の意図することを自由に掲載、放映できます。そのコンサルティングや仲立ちをするのが広告代理店。
一方、PR会社はメディアに対して記事で取り上げてもらえるように頑張って報道機関に働きかけますが、取材するか否か、記事として取り上げるか否か、どのような記事にするのかを決定するのかはメディア側が決めることで、企業側がタッチすることはできません。
だからメディアに取り上げてもらい、良い評価の記事になれば広告ではなくメディアのフィルターを通ってますから広告よりも信頼できるマーケティングツールとなりうるわけです。
企業は、メディアに取り上げてもらうためのコンサルティングとしてPR会社を利用し、お金を支払います。
しかし、メディアには企業からもPR会社からもお金が支払われることはありません。
ですから、どのような記事になるのかはメディアの自由で、記事が出てみるまでわからないのです。つまり、悪い評価を書かれることもあり得るので、低コストな反面、本当にいいものをPRに出さないと逆効果という場合もあるのです。
と、これは原則論。
もし、PR会社からメディアに対して金銭が支払われていたとすればどうでしょう。
悪い記事は書かれないのは当然として、企業の意図する記事が掲載されてしまうかもしれません。
しかも、依頼企業の名前を伏せて客観的にいいように書けば、それはステマということになります。
つまり、メディア側にお金が渡ることにより、ステマの市場が出来上がってしまうわけです。
実際にそういうことがあったのかなかったのかは知りませんし、別に私の記事がステマ呼ばわりされたのではないので興味のないところです。
仮に特集記事に書いてあるような「記事の相場」があって、それがメディア側に支払われていたとしても、私自身は何とも思いませんし、私には1円も渡っていない以上は関係のないことです。
取材記事は署名入りですし、嘘は書きません。私が取材して書いて出稿した段階では、正当な取材記事ですので、内容が変更されていない限りは、金銭のやり取りがメディアとPR会社との間にあろうが、記事の本質を変えるものではありませんので、どうでもいいことです。
私も件のベクトルグループをはじめとしてPR会社との付き合いは多くあります。
実際に取材依頼から記事配信までは、どのようなやり取りがなされているのでしょうか。
企業の発表会等は、様々なメディアが来て取材していきますので、終われば帰って記事を書くだけですので、そのままです。よく芸能人とかが来ていろいろやっているあれです。
では企業や商品、サービス等の個別取材案件はどうでしょう。
まずPR会社から様々な案件の相談が舞い込みます。
その案件について、プレスリリースや担当者から口頭で聞き取ります。
PR会社としてはメディアに取り上げてもらおうと頑張りますから、面白い点や良いところ等、様々なことをプレゼンして記者に仕掛けてきます。
それを聞いたうえで、疑問があれば質問します。不明な点は(PR会社の)クライアント側に確認させることもあります。
そうして、取材してもいいと思う案件については、取材する決定をします。この決定は記者の権限です。嫌なら断ります。取材日程が合わずに断ることもありますが、これは物理的な問題ですね。
ここで注意を要するのは、取材する決定を記者としてしただけで、記事にするかどうかは留保していることです。
実際に取材をして記事にするに値しなければ、記事にしません。時間を費やしただけ無駄ですが、それは取材することを決定した記者の判断が甘かったということになるのですが、とにかく記事にしないのも記者の権限です。実際に取材をして記事にしなかった例も存在します。
この場合は、担当者との個人的な付き合いはあり心苦しいのですが、理由を告げて記事にできない旨を理解してもらいます。ここは私の場合、署名記事ですので自分の名誉のためにも譲れません。
取材を終えて記事にする場合は執筆を始めます。
まれに、PR会社から校正を依頼されることがありますが、その場合でも誤字脱字や事実に関すること以外は記事の内容や方針について口を挟むことはありません。それがPRという手法だとPR会社自身が一番よく知っているからです。
また、クライアント側から校正を要求される場合もごくまれにですが、あります。
この場合も、PRである旨を告げて、誤字脱字や事実誤認についてのみ訂正を受けることを条件に、校正に回す場合もありますが、記者としてはたいてい記事の出稿が遅れるので、ニュースとしての速報性を自ら放棄したものとして、以降の取り扱いの優先順位は下げます。でないと、他の取材記事に影響が出るからです。
この段階では記者一人で取材から撮影から記事校正から出稿までを一人でやらないといけないので、仕方がありません。
これらの校正要請や要求に応えるかどうかも記者の権限です。嫌なら記事そのものを断ればいいのです。
実際にCMや広告と勘違いしているクライアント側に説教したこともあります。
私の場合は、ガジェ通ウェブライターという位置ですから、まずは連載.jpという拡散しない執筆機能のメディアに出稿します。取材段階ではウェブライターはガジェット通信の媒体名を出してはいけないルールになっています。なぜかというと、ガジェット通信への掲載保証がないからです。もしかしたら編集部の段階でボツ記事になるかもしれないからです。
ここで記者と編集部という2つのフィルターを通ります。この2つのフィルターを通過しないと記事として配信はされないのです。ここにPRという手法の極意があります。
PR会社は私がガジェ通ウェブライターであることはもちろん知っていますし、クライアント側も独自に署名記事を検索して私の記事がガジェ通に載っていることを知っています。しかし、それでもフリーランスライターとして、あるいは連載.jpの記者として活動します。PR会社はその辺の事情と掲載保証がないことをクライアント側に説明してくれます。一連の取材活動は、掲載保証がない不安定な状況の下で、行われることになりますが、それを了承してくれた場合のみ取材するということで、トラブルを未然に防いでいます。
こうして、記事化の決定をし、連載.jpに記事を出稿します。
ここまでが記者の権限であり、これができることの最終です。
この先は私の手を離れ、一切の権限はガジェ通編集部に移ります。
連載.jpに出稿された記事を見て、ガジェ通に掲載していいものは、編集部の判断で校正や校閲を経たのちに配信されます。
この流れで金銭の授受は一切ありませんから、記者の権限が及ぶ範囲までは、私が自由に記事を書くことができるわけです。金銭はもちろん、しがらみが一切ないからです。唯一しがらみがあるとすれば、PR会社担当者との長年の付き合いによる個人的な情ですが、これは私の記事が署名記事であることによって情に流されない担保としています。
だから自信をもって自分の意見を堂々と付して署名記事を書けるのです。
ちなみに、ガジェ通ウェブライターの位置ではガジェ通から一切原稿料は出ません。
私はそれでいいと思っているので、そうしているだけで、取材をして自分の判断で、自分の切り口で、自分の意見を記事として配信してくれているのでそれでいいのです。
そのうち記事や取材内容が評価されれば、おのずと原稿料が出るものと思っているからそれでいいのです。
仮に、私の記事でPR会社から何らかの金銭がメディア側に支払われていたとしても(そんなことはあり得ませんが)、それはそれで私の関知しないことで、記事そのものに影響があるわけではありませんから、どうでもいいのです。
なぜ、このようなステマ特集記事がダイヤモンドに掲載されても気にならないかというと、もちろん署名記事に自信を持っているというのもありますが、金融機関勤務の時に、週刊ダイヤモンドはよく営業ツールに利用していたからです。
金融機関の営業ツールに利用するということは、何らかの営業に有利になる記事がふんだんに掲載されているからに他なりません。
つまり、何らかの業界に有利な、営業ツールに利用できる雑誌というのは、往々にしてどこかのご都合で書かれている記事が多数存在するということです。
要するに、金融機関の人間はダイヤモンド(だけではありませんが)をはじめとするこの手の経済関連雑誌は、大衆実話誌と同程度の都合のよい単なる営業ツールメディアとしか見ていないのです。金融機関の人間でこのような雑誌の記事を信じて読んでいる人などいないばかりか、むしろ営業ツールに利用できる記事を探しているのです。実際にそうして営業ツールに使用していましたから事実です。そんなメディアに載った記事で動揺するほど低品位な記事を書いた覚えはないので、気にならないのです。
今日はネタもなく、ちょうどいいタイミングで面白い特集記事を出してくれたので、久しぶりにブログに文章らしい文章を書いてみました。
そういえば、前述のガジェ通デスクが私の署名記事を取り上げて、評価してくださっているブログ記事がありましたので、ちょっと感謝の意味を込めて紹介しておきます。
ニュースメディア&ライターのモチベ
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