本当にお仲間とは有り難いもので、「走るぞ~」となった事さえ知らなかった時期に、ほぼ正確なスジ情報がひっそりと入ってきます。
あまり長距離の徒歩移動は心臓に負担がかかるので出来ないし、でもせっかくの機会なので写真が撮りたい。
撮り鉄さんの永遠の憧れ?「お召列車」です。
10/6 天皇皇后両陛下 山梨県行幸啓に際してお召列車が運転されました。
恐れ多くも生涯で2度目のお召列車撮影の機会を賜りました。
誠に恐悦至極、光栄の極みであります。
頑張ろう。
今日は東のお召しに西の国鉄色381ですか?どちらも魅力的な列車ですね。
まずは準備編。どこで撮影するのか。
撮り鉄さんの本命は山梨方面でしょうか。それでも首都圏では駅撮りも相当多かろうとの予想で、まず中央快速線停車駅は避けます。緩行線のみの停車駅ですと撮影可能な市ヶ谷は「快速下り線・快速上り線・緩行西行き・ホーム・緩行東行き」という配線で、快速下り線を通過する列車をホーム先端から撮影しようと思えば、快速上り線と緩行西行き線が被りの対象になります。
お召は基本的に並列運転にならないようダイヤを組んでいるので、同方向の緩行西行の電車と被る心配はまずないと踏みますが、それでも941Bがお召の直前を走ります。タッチの差で市ヶ谷には941Bが早く到着するダイヤですが、飯田橋で30秒程度発車を遅らせるかも、あるいは市ヶ谷でお召の通過を待って発車するかもしれません。いずれにしてもちょっと微妙です。
さらに問題は中央快速線上りです。
運行図表によりますと、水道橋-市ヶ谷間で快速線上り電車とすれ違うのは5004Mかいじ104号ですが、この列車が2分弱遅れると被ります。
そう考えると、ダイヤ上全く被りの心配がない信濃町か千駄ヶ谷が有力です。この2駅は配線が変わり、「緩行線西行き・ホーム・緩行線東行き・快速下り線・快速上り線」になりますから、被る可能性があるのは緩行東行きだけになります。ダイヤ上は信濃町で2分30秒ほど、千駄ヶ谷で4分強の余裕時分があります。
写真として魅力的なのは信濃町ですので、第一選択は信濃町、第二選択は千駄ヶ谷、第三選択を市ヶ谷とします。要はホーム端なのでキャパシティが無く、入れなかったら次に行くしかないということです。
信濃町はそこそこ有名だと思うので、半ば諦めていますが、最終的に市ヶ谷になってもそれはそれで仕方のないことです。都心駅での通過なので前回のように655-1にお出ましでも御姿までの写真は難しいと思いますが、せめて列車だけでも決めたいところです。

自作ダイヤグラム
これは複々線の定期列車を同時に入れ込んでありますので、正確ではありません。
通る場所も緩行線と快速線は若干違うので目安にしかなりません。また、1分目ダイヤですが、正確に読み取れないようにかなり時間軸を縮めてますのでご了承ください。 こういうものを作って計画したということがお分かりいただければ幸いです。
行路はどうしましょうかね。都営新宿線で市ヶ谷まで行って緩行西行きに乗り換え、ひとまず信濃町で様子を見て、人が多ければそのまま千駄ヶ谷まで乗車、それでも無理だったら下車して緩行東行きで市ヶ谷まで引き返す行路ですね。首都圏の駅では三脚禁止令が出るという話もありますから、ものすごい装備の専業撮り鉄さんはいないでしょう。どちらかというと私のような、なんちゃって撮り鉄が多いと思います。遠くの沿線まで行く体力もありませんので、それで良しとします。
次にちょこっとだけ知識編です。
皇室の方々がご乗車になられる列車は大きく分けて2種類あります。
無茶苦茶厳密にいえば「お召列車」とは天皇陛下及び皇后陛下の御乗用として、特別に運転する臨時列車で、「御乗用列車」とは天皇陛下、皇后陛下、皇太子殿下及び皇太子妃殿下の御乗用として、運転するお召列車以外の列車のことを言います。
ただ、一般的には天皇、皇后、皇太后陛下がお乗りになる列車を「お召」といい、それ以外の皇族がお乗りになる列車を「御乗用」という定義で差支えないと思います。
公式、非公式、専用車両、一般車両貸切の区別は問いません。ただ、このあたりは国鉄時代ほど厳格ではなく、天皇陛下が御名代として皇太子殿下を御遣わしになった時は元々お召の予定でしたので、そのままお召列車として運転されました。
現在はお召専用の編成はなく、JR東日本E655系(なごみ)に専用の特別車両655-1(TR車)を組み込んでお召列車とすることが多いようです。その場合は特別車両が御料車となり、前後の座席車が供奉車となります。
このE655系自体は尾久車両センター所属で全車グリーン車のハイグレードジョイフルトレイン扱いなので、一般でも団体専用列車として乗車することは機会さえあれば可能ですし、走行シーンも首都圏では比較的よく目にします。
しかし特別車両である655-1だけは東京車両センター所属で、厳重に保管管理がされており必要な時以外は編成に組み込まれることはありません。ですから655-1が組み込まれ、車体に菊のご紋章が掲げられ、前面に国旗が掲げられるお召列車はそう簡単に目にすることはできないのです。
能書きはこれくらいにして…。
当日は早起きして、身を清めます。
さすがに写真を撮りに行くのに盛装というわけにはいきませんが、まだ暑いのですが、せめて上着くらいは羽織って出発。
当初は都営新宿線で市ヶ谷まで行く予定でしたが、小岩から総武緩行線を新宿方面に向かいます。
市ヶ谷は2名くらいでOK。四ツ谷3名、信濃町7名、千駄ヶ谷3名・・・。
決めました。一番条件は悪いですが、撮りやすさで市ヶ谷まで戻ります。
最初は3名ほどでしたけど、助役が現れ、本社職員が現れ、私服警察が2名現れ、撮り鉄さんが集まり、最終的には10名くらいになりましたかね?
皆さん後ろから望遠で抜くんでしょうか?私は広角系で前から撮ります。
まずは両陛下をお乗せするために東京駅に向かう上りの回送列車から。
写真は全てクリックで拡大します。

新宿方面から東京駅に向かう回送列車

655-1も見えますが、もちろん御紋章はまだ付いておりません。

国旗は畳まれた状態でした。

まずは回送見送り。

数十分後にお召し列車として下っていきます。

で、一番最悪なシナリオはこのような感じです。
どちらの電車もこちらへ向かってきています。
右の電車はお召列車も走る快速線で当駅にホームもなく通過です。
左側の電車は緩行線新宿方面行で当駅停車です。
このように緩行線の電車が被ると最悪なのです。
ただし、並走はないと思うので大丈夫でしょう。
いよいよ無線機から「急行下り接近」のアナウンス。
ほぼダイヤ通りです。10:02定刻でお召し列車がやってきました。

JR東日本 E655系

御召

特別車両655-1 菊の御紋章が取り付けられています。

拡大してご覧ください。
偶然ですが、天皇皇后両陛下、恐れ多くもカメラ目線でした。
もったいないことです。
しかし、前回の千葉国体お召しの時もそうでしたが、これは家宝です。
撮影しているホームから線路2本を隔てたこの距離で両陛下に拝謁することは生涯において二度とないでしょう。

こうしてお召し列車は甲府に向けて一路中央本線を下っていきました。
今日は余計なあとがきは残すまい。潔くこれで終わります。