電車は当たり前の話ですがモーターで走ります。
通常、全車が電動車ということはあまりありません。
電動車と付随車(モーターを持たない転がっているだけの車両)がつながっています。電動車をM(モーターカー)、付随車をT(トレーラー)としてその比率のことをMT比と呼んでいます。10両編成のうち6両が電動車で4両が付随車の場合は6M4Tとなります。 (6:4=3:2)
在来線の電車であれば「モ」が付いているものが電動車です。 (クモハ、モハ等)
「モ」が付いていない車両のほうが静かなのは言うまでもありません。 (クハ、サハ等)
さて、新幹線はどうでしょう?高速走行を連続して行う新幹線は電動車の割合が高いのが普通です。しかも高出力です。
では、各系列のMT比を見てみましょう。(東海道・山陽新幹線だけにします)
0系は設計が古く、1基当たりの高出力のモーターを得られなかったようで、全車電動車です。16両編成の場合は16M0Tで、編成全体の出力は11,840kWです。
100系は、ダブルデッカーを連結しているため全車電動車とはいきませんでした。12M4Tです。試作車X編成と量産車G編成は先頭車2両とダブルデッカー2両が付随車です。JR西日本のグランドひかり100N系V編成はダブルデッカー4両が付随車で、そのほかは先頭車両を含めて電動車です。16両編成の出力は11,040kWです。
300系はさらに電動車が減り16両編成で10M6Tですが、モーターの高出力化により12,000kWの出力を確保しています。新幹線車両ではじめてVVVFインバータ制御を採用し、電力回生ブレーキも装備するという0系や100系とは全く異なる新技術が多く採用されています。
500系は高出力モーターを持ちながら、300km/hで走行する性能を確保するため全電動車となり0系以来の16M0Tです。出力も量産車は17,600kWとモンスター級です。
700系は最高速度を285km/hに落として、省エネと居住性の向上に気を配った車両であると言えましょう。16両C編成とB編成は12M4Tで出力13,200kW、8両E編成のレールスターは6M2Tで6,600kWです。
N700系ですが、これはもう技術の粋を集めた近代新幹線の集大成といえます。最高速度も300km/hを確保し、東海道区間は従来と変わらない最高速度ですが270km/hを出せる区間が車両傾斜システムの採用により格段に伸びた関係で時間短縮に成功しました。300km/h走行を確保するため14M2Tとし、それでも全車電動車の500系に引けを取らない17,080kWの高出力を生み出しています。
話変わって…寝台特急で一番速いのは最高速度130km/hの285系サンライスエクスプレスですが、なんと、2M5Tで2両しか電動車はありません。
主電動機(モーター)は新快速でお馴染みの223系1000番台等と同じWMT102Aを採用しています。もちろん、制御方式は違いますので「新快速と同じ」わけではありませんが、WMT102Aの定格出力は220kW、新幹線500系モーター1基の定格出力が275kWですから在来線としてはすごいパワーのモーターということになりましょうか?
ちなみに、先代新快速の221系の主電動機は120kW、サンダーバードやしらさぎ、はくたかの683系は245kWです。なお、これらはモーター1基当たりの定格出力ですので、モーターの個数によって編成の能力は変わります。
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